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八ヶ岳南麓から風は吹く

大手ゼネコンの研究職を辞めてから23年、山梨県北杜市で農業を営む74歳の発信です/「本題:『持続可能な未来、こう築く』

9.1 新しい選挙制度 ——————————その2               

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9.1 新しい選挙制度

             ———————————— その2

  

 では、その新選挙制度はどのような流れによって構成されるか。

ここでは、それを、試案として、新時代を考えるという意味で、第8章にて論じてきた「新国家」の場合について考えてみようと思う。それは大統領制をとった連邦国家についてである。

 

第1.先ずはこの新選挙制度の中核を成す選挙管理委員会(以下、選管と称する)を立ち上げる。

そのためには、その選管の委員を選定する役割を持つ「新国家建設構想立案国民会議」(以下、国民会議と称する)を設立するのである(第14章も参照)。

その国民会議の設立準備は、次の2集団による合同会議の下で行う。

①民主政治のあり方を日頃研究している政治学者集団あるいはその分野の学会。

②現行の超党派の政治家集団

 なお、②の超党派の政治家集団とは、この国を真の民主主義を実現した本物の国家としなくてはと願う政治家たちからなる集団との意味である。決して時代に逆行するような思想・信条を持った政治家集団ではない。

その合同会議を主導するのは学者集団として、決定内容に責任を持つのは政治家集団とする。

ただし、国民会議を設立するにあたっても、政府の官僚は一切介在させない。もし、事務局等を設ける上で人が必要ならば、国会ないしは議会が国民の合意を得た上で、それを設立する上で必要な予算と共に、独立して、それにふさわしい人を募集する。

 その超党派の政治家集団と政治学者集団ないしは政治学分野の学会は、共同で次のことを決める。

1つ。国民会議の役割と使命。2つ。国民会議の構成員の構成と任期。

ただし、その構成は、国民会議との名称からも判るように、社会のできるかぎり全階層から成るようにし、公平を期す。その時、構成員の思想や信条は不問とする。また各産業界から参加してもらう人については、その産業界の指導的な立場あるいはボス的な存在の人は避ける。なぜなら、そのような人が国民会議の構成員となると、議論の際、同じ産業界の他の人は、そのボス的存在に遠慮して、自分の考えを率直に語ってもらえなくなる可能性があるからである。そうなればボス的存在の意見だけが通ってしまう、ということにもなりかねないからである。

 なお各産業界および国民各階層からの参加者は4名ないしは2名ずつとし、その場合、男女同権の観点から男女同数とする。

 私案であるが、国民会議の具体的構成の仕方については、たとえば次のようにするのはどうであろう。

農業(4)、林業(4)、畜産業(2)、水産業(2)、製造業(4)、商業(4)、医療・看護・介護・福祉分野(4)、家庭の主婦(4)、教育・科学・技術分野(4)、文化・芸術・芸能分野(2)、新聞・出版・放送分野(2)、輸送・流通業(2)、その他の分野あるいは業界(2)の合計40名から成る、とする。

 

第2.国民会議により各地に選管を設立する。

国民会議は連邦、州、地域連合体の各規模と段階ごとに、日本各地に選管を設立して行くのであるが、その際、どこの選管についても共通の役割と性格と任期として、たとえば以下のことを明確にする。

 役割については、次の通りとする。

①選挙の広報、②立候補希望者の募集と受付、③立候補を希望する者の資格審査と、それにまつわる審査経緯と審査結果の無条件公開。

2回目以降の選挙の場合の「資格審査」については、とくに過去に、この新選挙制度により当選したことのある立候補希望者については、その立候補希望者が以前に掲げた政策のその後の活動を通して実現した度合いを自己評価した資料の審査をも含むものとする。

④立候補者の選挙活動(調査活動と政策立案)のための費用を、連邦、州、地域連合体の各政府に請求、⑤立候補者に選挙活動費を支給。また選挙後はその使途のチェックをし、その結果を無条件公開する。⑥第二次審査を経た後の、有権者による直接投票の準備、⑦候補者の選挙活動と有権者の投票行動の監視、⑧当選して政治家となった者について、その任期終了直前に、任期中における「公約」の実行度についての自己申告書の要求と、その内容のチェック

 性格については、次のものとする。

連邦政府、州政府、地域連合体政府といえども介入・干渉できない独立性と権限を持つこと、②徹底した透明性を維持すること。つまり、全てを公開すること、③国政段階の選管と地方段階での選管の委員を兼務することはできないこと、④選挙管理委員会の構成員規模は、連邦、州、地域連合体によって異なるが、委員長は1名とし、副委員長は2名とする。委員長はこの全委員の中から互選で決められ、副委員長は委員長の任命による、とする。

 任期については、次のようにする。

どこの選管についても、2回目の選挙が終るまでとする。

 なお、この制度の下では、全ての選管について、その選管の役割と事務手続きがすべて効率よく、かつ公正に進められるための手助け役としては、中央政府の官僚および地方政府の役人が当たる。主導するのは、あくまでも選管の委員長以下の委員である。

その際、官僚あるいは役人は、選管がその役割をすべて終えて、解散するまでの経緯を、選管委員全員の了解を得られる形での公式の議事録として残す。もちろんその議事録については、主権者からの要望があれば、いつでも、無条件に、要求されている範囲のすべてが公開されねばならない。

 

第3.選管は、どこの選管も、上記役割と性格と任期にしたがって行動するが、その役割の重要な1つとして、候補者となれる資格条件を選挙の事前に公報し、立候補者を受け付ける。

その際、立候補者は、自らが選挙戦のために掲げる公約としては、必ず次のA種とB種の2種類の政策案を合わせて公約としなくてはならない、とする。

A種は、候補者自身がかねてから信念として来た独自の政策案からなる公約。

B種は、選管が予め例示した政策群から候補者が選び出したものからなる公約。

ここにB種の政策案とは、既述の「6つの条件」の中のいずれかに該当するものを言う。

その「6つの条件」の各々に対応する政策案の例は後述する。

 

第4.選挙に立候補を希望する者は、上記のA種とB種の政策案を合わせて公約としたものに立候補希望趣旨書を添えて選管宛に届け出す。その際、、インターネット等の通信手段による届け出は認めないので、必ず文書で届け出す。

届け出せる時期あるいは期間はとくに限定されない。連邦議会、州議会、地域連合体の議会の各会期中であろうと解散時であろうと、また欠員が生じた際であろうと、いつでも可能とする。

 ただし、その際、連邦の選挙、州の選挙、地域連合体の選挙に応じて、公約の中に含めるべきA種とB種の政策案のそれぞれの最低数は予め決められている。

その最低数は、例えば大統領の場合には、A種については40、B種については20、連邦議会の議員の場合にはA種については30、B種については10、州議会議員の場合にはA種の数は20、B種の数は10、地域連合体議会議員の場合にはA種は15、B種は5、というように。

 

第5.立候補希望者に対する選管による審査。

これは〈第1次審査〉と〈第2次審査〉から成る。

〈第1次審査〉では、選管により、つぎの3項の有無について審査される。

①立候補希望者は、この新選挙制度が目ざす既述の「目的」を受け入れているか、という点

②立候補希望者の届け出して来た公約は、A種とB種の政策案が決められた最低数を満たしているか、という点

③そのA種とB種の政策案の全リストが提示されているか、という点

 ただしこの段階では、掲げる政策案の名称を提示するだけで可とし、実現方法等の具体的な中身の記載は不要とする。また、この段階では、立候補希望者についての定員はとくに設けないが、この段階の審査の経緯と結果は、直ちに国民全体あるいは関係地域全体に、無条件に全面公開される。

 この第1次審査に合格して初めて、立候補希望者は、国民の税金を選挙活動のために使うだけの資格があると選管から認められる。

そして、認められると同時に、立候補者自らが掲げるA種とB種の政策案の全部を実現するための具体的な方法と手段と計画を練り上げるために必要な費用が、連邦政府あるいは州政府または地域連合体政府という地方政府より支給される。

たとえば、

 連邦政府の大統領に立候補を希望する場合には、2億円。

 連邦政府の議員に立候補を希望する場合には、1億円。

 地方政府、とくに州政府の知事に立候補を希望する場合には、1億円。

 地方政府、とくに州議員に立候補を希望する場合には、5千万円。

 地方政府、とくに地域連合体の首長に立候補を希望する場合には、5千万円。

 地方政府、とくに地域連合体の議員に立候補を希望する場合には、3千万円。

 これらの公費は、各種の専門家や知識人をコンサルタントとして雇う費用、また資料やデータの収集に活躍してもらう秘書を雇ったりする費用、選挙活動の拠点としての事務所等を借りる費用として遣うことができる。

 なお、自らの公約の中に含めた政策案についての実現方法を練り上げるのに要する期間については、とくに制限は設けない。次期選挙に間に合わなければ、次の次の選挙まで立候補できる機会はやって来ないというだけのことである。

 また、支給されるこれらの選挙費用はすべて国民の納めた税金であるため、その金の使途については、残金も含めて、無条件に全額を選管に届け出す義務があることはいうまでもない。その際、申告内容に偽りあるいは不正があると選管に判断された場合には、その立候補希望者は、その不正の程度や悪質さの度合いに応じた罰則を受けるだけではなく、直近の選挙戦を含めて、その後の選挙戦に何年間か出る資格を失うことになる。

〈第2次審査〉

 この段階では、第1次審査では問われなかったこと、すなわち、立候補希望者が自己の掲げるA種とB種の政策案を実現するための具体的な方法と手段と計画を持っているか否かが審査される。

 ただし、その場合も、政策とその実現のための具体的な方法と手段と計画の善し悪しや適不適、あるいは時宜にかなっているか否か、また実現の可能性の判定までを下すものではない。内容の善し悪し、内容の適不適、それが時宜にかなっているか否か、実現可能性等を判定し、どの候補者の政策を選択するかは、あくまでも主権者であり有権者である国民あるいは地域住民だからである。

 第2次審査に合格した者だけが第3次審査へと進みうる。

 

第6.〈第3次審査〉のここからが実質的な「選挙戦」となる。これまでは書類上での審査だけだったからである。

 この選挙戦では、公開の場にて、全3回以上にわたる候補者間および専門家相手の政策討論が義務化される。

つまり、この新選挙制度では、従来の、宣伝カーを連ねて候補者の名前を連呼しては走り回るただ騒々しいだけの遊説や、街頭または屋内での候補者単独の講演会、また自分一人で、言いたいことをただ言い放つだけの演説会、そしてポスターによる宣伝という類いの方式はもはやすべて禁止とする。

そのような方法では、有権者には公約の中身はもちろん、その是非も、実現性も、他候補者との公約の違いも判らないからである。実際、これまでがそうだった。

 むしろ選挙戦で大事なことは、各候補者は、自分を選んでもらうために、自身が掲げる政策案から成る公約について、その妥当性・適時性・実現方法と実現可能性と、それを実現することで国民の側に得られる成果とを、他候補者と差別化しながら、有権者により明解に語りかけ訴えることである。

 他方、有権者にとっては、どの候補者が自分が日頃切実に望んでいることを実現してくれると訴えているかをよく見極められるようになることであると同時に、自分はこれまで考えたこともなかったことであるが、聞けばなるほどそれは重要な政策案だと思える政策案を掲げる立候補者を発掘することなのである。

 そしてそれらこそ選挙を戦わせる目的であり意義でもある。

 なお全3回以上の政策討論のうち最低2回は立候補者どうしで、1回は政治学者および政治ジャーナリスト相手の討論とする。

 その際、いずれの政策討論会でも、会場からの質問や要望も可能なようにし、その場で答えられない場合には、公開を前提にして、文書で回答することを義務づける。

 なお、地域連合体内での選挙ではそれでいいが、州ないしは連邦レベルの選挙では、選挙区の大きさを考えて、既述した選挙戦の目的をあまねく実現させるための工夫を当該選管がする。

 そのためには、たとえば、討論会場からのTVによる生中継はもちろん、SNSによるリアルタイムでの有権者と立候補者との質疑応答なども公開可能なようにする。

とにかく有権者の生の声が直接立候補者に、公の場で、届くようにすることであり、またその返答も、公の場で、立候補者から質問者に届くようにすることである。

 

第7.国民(有権者)による無記名での直接の投票

 これは、これまでの立候補者どうしの選挙活動に対する主権者である国民・住民の、直接の、そして最高で独立した最も権威ある審判である。

 これによって、予め定められていた議会議員定数の範囲内で、議員が確定する。

 因に私は、ここで当選できる定数はそれぞれ次の程度で十分なのではないかと考える。

大統領と首長は当然各一人であるが、連邦議員はせいぜい70名前後、州議会議員は30名程度、地域連合体議会議員は10名程度。

ちなみに、現在の議院内閣制をとるこの国の国会議員定数は、衆参両院で、722名である。つまり、この十分の一程度にするわけである。

 なぜこの定員数で十分と私は考えるかというと、1つは、以上述べて来た経緯に基づく選挙制度から推測できるように、各地域から出てくる立候補者はその地域の有権者の様々な要求に耳を傾けて、そこの優先順位をつけて、問題を精査し、その上でそれその問題の解決をも視野に置いて自らの公約として出馬してくるであろうから、それだけの議員定数でも、その地域が解決すべき問題は、その議員たちが掲げる公約の中にほとんど含まれているだろうと思われるからである。

ましてや、議会を構成する議員は、選ばれるときには特定の選挙範囲の中から選ばれたとしても、ひとたび選ばれて当選した以上は、もはや特定の1選挙区の代表ではなくなり国民全体の代表になる、という民主政治における「代表の原理」が環境時代には一層生かされてゆくようになると考えられるからである。

 当然この原理は、連邦だけではなく州や地域連合体での選挙でもそのまま適用されるはずだからだ。

 また、この定員数で十分と私は考えるもう1つの根拠は、できる限り少人数の方が、議会での議論は、小回りが利き、しかも、互いに深い議論、本音の議論が十分な時間を掛けてでき、政策決定を迅速化できるだろうからである。

 実際、これまでの国会を見ても————もちろん国会を含めて議会は質問の場ではないにしても————、衆議院465名、参議院245名、合計710名(2021年1月現在)いる国会議員の中で、一年を通じて、それもNHKなどが報道する本会議や予算委員会といった場で「質問」に立った議員は、質問回数ではなく、質問に立った頭数では、せいぜい一割いるかどうかという程度なのではないか、と私には思われてしまうのである。

 とにかく議会では、議員どうしで議論すべき事柄の優先順位を決めた上で、順次、幅広く、また深い議論、細やかなところに配慮の行き届いた議論をし、その結果、特に「何はしてはならない」をできるだけ具体的に明確化した法律として議決し、その議決内容を執行機関の長を通して執行させ、速やかに国民生活の現場に反映させることこそが重要なのだ。

そのためにも、“一票の重みが2倍も3倍も違うのは憲法違反”、と抗議するのも大切だが、それ以前に、いかにして少しでも議会での議論をより有意義なものにし、どんな時でも国民の、あるいは住民の生命と自由と財産を最優先に、かつ迅速に守れる議会とするか、ということの方がはるかに重要なことなのではないか、と私は考えるのである。

 

 一方、執行機関としての政府では————この場合大統領府となる————そこでの政治家、とくに大統領と、大統領に任命された副大統領と閣僚は、国家の最高の意思、州の最高の意思、地域連合体の最高の意思を議決した議会のその決定内容を受けて、配下の官僚ないしは役人をして、選挙時に国民から負託された権力と権限を正当に行使してはコントロールし、またチェックもして、議会の決定内容を最高度に効果的かつ効率的に執行させることこそが最大の役割でありまた使命となる。

 ただしその場合、この新選挙制度政党政治制度の存続は考えてはいないので、与党とか野党という概念はなくなる。

したがって、副大統領および閣僚に抜擢されるのは、あくまでも大統領の目にかなった人物ということになる。それも必ずしも国会議員であるとも限らない。

ともかく、大統領にしても、その大統領から選任される副大統領および閣僚にしても、その資格として、国民にとって最も大事なことは、この国の憲法を「維持し、保護し、擁護」しながら、また「法の支配」を守りながら、大統領の指揮統括の下、議会の決定内容を最高度に効果的かつ効率的に執行させることなのである。

 その時、閣僚は、役人から「報告を受けている」と言うだけで満足し納得しているだけではどうしようもない。また国民に政治の執行状況を説明するのに、官僚の作文を棒読みしているだけ、というのでもどうしようもないのである。

 

 そこで、以下では、既述して来た、選挙の実施に当たって選管が予め立候補希望者に提示するべきB種の政策案を先の「6つの条件」のそれぞれに対応させて、以下に例示する。

1.日本という国を、政治的舵取りのできる真の指導者を持ち、官僚とその組織をコントロールしながら、また現行のいわゆる「政府組織の縦割り」の打破を含めて、必要に応じて、官僚組織を大胆に変革しながら、議会が決めた政策や法律を速やかに執行しうる真の政府を持った、真の国家とするための具体的な方法論を取り上げ、その実現に向けて取り組むことを決意した公約

○国民一人ひとりに、“私たちが真に幸せになりたいのなら、とにかく現在の政治状況を変えよう。そのためには、先ずは、私たち国民自身が、一人ひとり、政治的基本諸概念、とくに、政治、権利、権力、議会、政府、司法の独立等の意味を曖昧なままにせず、正確に理解し、それを実践できるようになろう”、と国民に呼びかけることを決意した政策案

○時間はかかるけれど、学校で、民主主義政治制度、とくに議会とは何か、政府とは何か、裁判所とは何か、そして政治家とは何か、役人とは何か、またその両者の関係はどうあるべきか、権力とは何か、統治とは何か、国家とは何か、をじっくりと学べる教科を必須とさせる、とする政策案。

○新選挙制度を実現させる政策案。

○国民の全階層からなる、国会と政府から完全独立した、公正かつ公平に選ばれた構成員からなる、特定事項を必要に応じて審議できる国民議会を創設する政策案(ここに、特定事項とは、たとえば、新国家創建案、新憲法草案、最高裁判所長官を国民が指名できる権限、検察庁検事総長を国民が指名できる権限、本書で提案する新選挙制度と、それの骨格を成す選挙管理委員会の設立、等)

○“政治家こそが国民の唯一の利益代表である”、一方、“官僚ないしは役人という公務員は、国民の代表ではなく、むしろ国民に奉仕する立場のシモベである”との訴えとともに、それゆえに、政治家こそは政治と行政のあらゆる分野で、官僚(役人)をコントロールし、彼らのやっていることをチェックする必要がある、ということを訴える政策案。

○また政治的情報伝達のシステムについても、政治家は、国民の代表として、とくに現場での国民の声に耳を傾けることに最も重きを置き、それが議会の議長と政府の長にもっとも速やかに伝達され届くような、いわば「現場の声の最速吸い上げシステム」を国内のあらゆる公的機関に対して実現するシステムを構築する、との政策案

○民と官を明確に区別するために、また官僚の天下りを壊滅させるために、いわゆる財団法人や社団法人等の「公益」法人の全てについて、国民の代表という立場で、それの要不要をチェックし、不要なものは廃止させる、という政策案

 

2.とくにこれまで、この国の政治家が取り上げることを敢えて避けて来たがために事態をいっそう深刻化させて来てしまった、この国あるいはその地域にとっての最重要・最緊急課題を取り上げ、その課題の解決に、立候補希望者なりの具体的解決方法を示しながら取り組むことを決意した公約

○国民の食う食糧を国内で自給する政策案

○国民が日常的に使うエネルギーを、電力を含めて、国内で自給する政策案

◯この国の国土の生態系を多様な生物種の強制と循環の場に変えてゆく、との政策案。

○政治家が官僚(役人)に放任して来たがために貯めに貯めて来た国の中央政府と地方政府の債務残高およそ1200兆円を遅くとも2030年までにはGDPの30%までに減らし、将来世代や未来世代の若者たちが納める税金は、彼らが彼らのために使えるようにする、との政策案

少子化を解消し、高齢化を解消してこの国を活力ある国にするために、この国を真に希望の持てる国にするとの政策案

○国全体が均衡ある発展をするためと、地震津波からの危険分散を図るために、地方を産業面でも人口構成面でも活性化させて、大都市への人口集中を止めるだけではなく、人の地方への移住を促進して、各地域を循環的に自己完結した社会へと目指す、との政策案

○国民の暮らしを成り立たせながら地球温暖化の進展を抑える国民経済とそのシステムのあり方を提唱する、との政策案。

天文学的な額の政府の借金の中で、ますます進む社会資本の老朽化と劣化に対処する、との政策案。

 

3.《エントロピー発生の原理》と《生命の原理》を国家の二大指導原理とすることに国民の合意が得られるように計らいながら、日本に真の民主主義を実現させるだけではなく、さらにそれをも超えた生命主義をも実現させ、この国を真に持続可能な国にする具体的な方法を示した公約

○《エントロピー発生の原理》と《生命の原理》を小中学校の教育課程で学ぶようにするとの政策案

○「自由」とは何か、「民主主義」とは何かを、小中学校の教育課程で学ぶようにするとの政策案

○「生命」とは何か、「生命主義」とは何かを、小中学校の教育課程で学ぶようにするとの政策案

○国内に、「都市および集落としての三種の原則」を実現した都市づくりの必要性を訴えるとする政策案(自動車がなくても暮らしが成り立つ小都市あるいは地域連合体とする。結果、自動車を動かすための化石燃料あるいは電力は不要となり、それだけ温室効果ガスの排出量を激減させられるのだから。そしてそれこそが、国連が訴えるSDGs、持続可能な開発の最も有効な実践例となるのだから、と)。

○活力を失い、人口減少が進む国内のそれぞれの地域を支え、その地の自然と伝統の文化を守り、また育てる若き人材を育てるために、これまで戦後ずっと行われてきた画一教育や競争教育そして断片的知識詰め込み教育を廃止して、互いにみな異なる個性や個人の能力を最大限伸ばすための多様性を重視した教育を実現するために、中央政府レベルでは、もはや中央集権体制をやめ、権限をごく一部を除いてはその大部分を地方政府に移管する一環として、先ずは文部科学省を廃省とし、学校教育の権限を州あるいは地域連合体に委譲させる、とする政策案

○所属府省庁の既得権益を維持あるいは拡大しては、そこの高級官僚の天下り先を確保し続けるためだけに、事業を肯定する答申を出させるための環境アセスメントを似非学者・御用学者にさせては、この国の世界に誇りうる豊かで美しい自然を大規模に破壊し続けてきては、この国の借金、すなわち政府債務残高を天文学的な額にまで膨らませることになった張本人の政府の一省庁である国土交通省は、もはや存在しているだけで有害無益として廃省にして解体し、むしろこれからは、この国も「パリ協定」に本格的に貢献しうる国となるために、これまでの環境省を、その役割と使命を大幅に拡大して、予算も大幅に拡大し、老朽化した社会資本の修理保全をしながら、破壊され汚染されたこの国の自然ないしは生態系を大至急蘇らせることを目的とした国土自然保全省として生まれ変わらせる、との政策案

○同様に、所属府省庁の既得権益を維持あるいは拡大しては、そこの高級官僚の天下り先を確保し続けるために、原発行政を積極推進したり、大規模火力発電所による発電にこだわり続け、一方ではこの国の伝統の物づくり文化あるいは「匠の技」をグローバル市場経済システムを進める中で次々と消滅させながら、温室効果ガスの大量輩出を産業界には続けさせ、地球の温暖化に依然と拍車をかけ続けて来たのは経済産業省である、とした上で、もはやこの省は時代の役割を終えたとして廃省にし、これからは、真に地球の自然を守り、国の伝統の物づくりを甦らせ、結局は個々人をして利己主義で肉体的にも精神的にも虚弱にしかさせない「便利」「快適」な物づくりではなく、「身の丈の技術」、「自然素材からなる製品」、「作り手の思いやぬくもりを感じられる物づくり」を中心にして、真に一人ひとりの心の豊かさを実現させてゆくことを主目的としてゆく伝統技術復興省を創設するとの政策案。

○見せかけだけの「国土強靭化事業」などではなく、とくに源流域の森林を混交林としながら、その森林を地域住民を主体に、雇用を確保しながら管理の徹底を図って活性化させ、森林を「緑のダム」として蘇らせ、集中豪雨時、山肌の崩壊防止、土石流発生防止を図る事業を国家として進めてゆく、とする政策案。

○河川という河川の流れを阻害する物または構造物を撤去しながら浄化して、水生生物が育ち、回遊魚が遡上できるようにして、河川を作動物質「大気・水・栄養」の循環の大動脈とすることを国家としての真の公共事業として進めてゆく、とした政策案。

○国民が安くて良質な食糧を安定して確保できるような生産と流通と消費の仕組みを、都会と農村を結びつけながら作ることを国家としての真の公共事業として進めてゆく、とした政策案(結果として、国全体の農業を活性化させ、先進国中最低の食糧自給率を向上させることができるようになり、さらには国民の多くが極力医者や薬に頼らなくて済む健康体になり、増大する一方の国民医療費を減らせるようになる)。

○日本の農業形態を、やはり生産地(農村)と消費地(都会)とを結びつけては食料自給率を上げながら、農薬と化学肥料を多投する農業から、有機質による農業に転換させるとした政策案(生態系の破壊と生物多様性の消滅を防ぐため)

○温暖多湿という気候条件と平野が少なく山岳が70%以上を占めるという地形的特性を持つ日本列島ならではの自然条件を最大限に生かして、自然エネルギーによるエネルギー自給を実現させる、とする、世界の環境先進国でも不可能な方法による政策案。

それは、日本中いたるところにある急峻な河川、それもほとんど一年中、大きく水量が変わることなく流れる河川水の持つエネルギーを有効活用して発電する、というものである。だからと言ってそれは決して、河川水をせき止めるダム式の発電ではない。水を流したまま、その水流のエネルギーによって小型水車を回して発電し、その電力を合計して大電力を得るという方式のものである。

この方式によって得られる発電量は、ソーラーパネルのように、その日の天気によって左右されるということはないのである。

○太陽光によって温水を作り、その蒸気の力で発電し、それを各地域のエネルギー自給に役立てる、とした政策案。

○各家庭から毎日必ず出るゴミを焼却したときに出る熱を利用して発電し、それを各地域のエネルギー自給に役立てる、とした政策案。

○人糞や酪農から出る豚糞・牛糞・鶏糞・馬糞等を有効利用してメタンガスを作り、それをボンベ詰めして地域の各家庭の台所のガスとする、との政策案。またそのとき得られる液肥を肥料として農業に利用することにより、化学肥料の投入量を減らし、同時に購入費を減らすことができるようにする、とした政策案

○太陽光によって温水を作り、それをパイプを通じて地域の各戸に配給して、暖房や台所に有効利用する、とした政策案

○化学合成物質による工業製品を極力廃止し、自然材料による手作り製品が商品となる経済システムを実現させるとした政策案(物を大切に使うようになって簡単に物を捨てるという習慣は消え、生態系を化学合成物質で汚染するのを防止できるようになる)

○グローバリゼーションで廃業または消滅に追い込まれた日本の伝統の「匠の技」および各地域の「伝統のものづくり文化」を復活させ、各地域の住民の暮らしを支える多様な物づくり事業を各地域で自由かつ独自に興せるように国家が支援する、とした政策案

○自然や生態系を台無しにし、そこを野生生物が棲めない荒れた地にしてしまったために、結果として麓に鳥獣被害を頻発させることになったこれまでの「開発」あるいは「開発行為」のあり方と概念を全面的に見直し、むしろ生態系を活性化させ、生物多様性を復活させるための「開発」を進める、とした政策案。

◯全国各地、特に今、北海道の土地が中国資本に大規模に買い占められている実態を鑑みて、それを法的に規制し、国土の保全と安全を守る、とした政策案。

 

4.日本という国を、国民の生命と自由と財産の安全、そして人権の擁護と福祉の充実がつねに最優先される国にするための具体的な政策案あるいは方法論を取り上げ、その実現に向けて取り組むことを決意した公約

○これまでの画一教育、断片的知識詰め込み教育、本当の意味での信頼関係を築けない競争教育を廃止して、子どもたちや若者たち一人ひとりの個性と能力と尊厳を無条件に認める学校教育へと転換させる、とした政策案。

○現行の学校教育における画一教育と断片的知識詰め込み教育を止め、とくに児童生徒には次の力を身につけさせる教育へと転換させる、とする政策案。

自然の中で生きられる力。物事の善悪や正邪を自分で判断できる力。自分の言いたいことを相手にわかりやすく説明できる力。自分の主張したいことを、不特定多数の人にわかりやすく伝えるための文章を書く力。

◯学ぶ意義、生きる意義、生きる目的を児童生徒自ら見出せる教育へと転換させる、とする政策案。

○そして、それを可能とするために、教育基本法と学校教育法を根本から改正させる、とする政策案。

◯同時に、地方の文化や事情もわからないまま、中央にいながら全国を画一的に統治する管理教育に基づく行政では、多様な人材は育て得ないとして、文科省の廃止を呼びかける、とする政策案。

○優れた人材を生み出すには、優れた教師が必要だし、その教師が自由に教育に当たれる教育制度が必要だとして、それが実現できる学校教育制度へと変えてゆく、とする政策案。

○どのような境遇の家庭の子供でも、すべて学校で学べるようにするために、学校教育費用を、小学校から大学まで完全無料化する、とした政策案。

日本国憲法の第21条第2項「検閲は、これをしてはならない」に則り、「教科書検定」を廃止させる、とした政策案。

○日本の医療の現場、介護の現場を、そこで働く人々には、肉体的にも精神的にももっともっとゆとりがあって、なおかつ、医療従事者と患者とが、互いに人間の尊厳を大切にしうる現場とするために、医師、看護師、介護士保健士の数を増やすとともに、その人たちへの待遇を抜本的に改善し、「何のための医療」であり、「誰のための医療」であるかを誰もが理解できる医療制度へと変えてゆく、とする政策案。

○現行日本国憲法の第21条を徹底し、基本権としての「集会・結社・表現の自由、通信の秘密」の保障を確実なものにする、とした政策案

○これまでの政治家の怠慢と無責任の結果、いたるところ、時代遅れで、古き家族制度の名残をとどめる民法を、新しい時代にふさわしい民法へと全面改正する、とした政策案。

個人情報保護法を全面改正するとした政策案。

○情報公開法を全面改正するとした政策案。

憲法違反が明らかな特定秘密保護法は廃止するとした政策園。。

○全国の「記者クラブ」を廃止し、基本権である「表現の自由」を完全に保障する、とした政策案。

○日本の既存の全法律を、内容、時代や状況に合っているか、表現の判りやすさ、表現の合間さからくる運用者の恣意の介入の可能性、新法の必要性等々の観点からの全面見直しを実現させる、との政策案。

○封建時代あるいは明治時代の「家族制度」の考え方とは根本的に異なる、人権の尊重と民主主義を土台とした、少なくとも3世代以上が同居する今様の「大家族制度」を実現させる、とした政策案(結果として、伝統文化の伝承、食文化の伝承、自宅での出産の可能性、育児不安の解消、託児所の不必要化、個人主義の緩和、支え合いの文化の定着、女性の社会参加の後押し、等が期待できるようになる)。

○現行の世代間相互扶助制度(年金制度、介護・保険制度、奨学金制度等)を抜本的に再検討させる、とした政策案

 

5.不安定化と複雑化を増し、分断化が進む世界に対して、日本が、協調外交を通じ、その世界の真の平和と安定に貢献できる具体的な策を示し、それらの実現に努力して行くことを決意した公約

○これまでの日本は、世界から経済大国とは言われながらも、国民生活の実態、特に精神面や心の面では貧しいものだった。それというのも、日本は、戦後ずっと今日まで、とくに政治と軍事面ではアメリカに依存しまた追随しながら、「何のために豊かになろうとするのか」という意味も目的も明確にせず、ただ「経済的に豊かになること」だけを自己目的としてきたがためだ。そのために、世界から、日本は何をしたいのか、何を目ざしているのかさっぱり見えてこないし、何を考えているのか判らない国、目されてきた。

そんな中で日本は、バブル経済崩壊後は、急速に、国際的な相対的地位を低めても来た。

 しかしこれからはそんなことではいけない、日本が目ざして行く方向とその際の基本的考え方を世界に明らかにして行く、そしてそのことを通じて、この国を、今度こそ、世界から信頼できる国、価値ある国と認められる国にしてゆく、とした政策案。

○その第一として、地球の温暖化を抑える活動をすることにおいて、環境先進国の仲間入りをすることを目指す。生物多様性が消滅してゆくことを抑える活動においても、環境先進国の仲間入りを目指す、とする政策案。

◯これからの日本と日本国民は、国連に加盟している他のすべての主権国家と同様に、外交と軍事を外国に依存することはもはやせず、先ずは国民自ら、自国の安全は自分たちの手で守るという気概を持ちながら主権を堅持し、したがってこれまでの日米安全保障条約はひとまず破棄する。それだけではなく、これからはいかなる軍事同盟にも加わらずに中立を保ってゆく。こうした国民的姿勢を政府は国の内外に示すべきだ、と迫ってゆくとする政策案。

◯このままではますます深刻化してゆくであろうとみられるアメリカと中国との「新冷戦」ではあるが、それをどちらか一方の立場だけから見ている限りは、あるいは日本はアメリカにつくべきか中国は怒らせないでおこうかといった損得勘定の次元の考え方では、世界平和に貢献できるはずはない。

むしろ対立を深めることに貢献してしまいかねない。

こういう時こそ、一段階も二段階も高い見地から事態を見つめ直してみることが大切なのだ。そうでなくても、今、気候変動の激化と生物多様性の消滅の危機、そしてあらゆる資源の枯渇化により、地球上の全人類の存続が危ぶまれているのだから。そしてアメリカの経済も中国の経済も、否、全世界の経済もそれらの危機を乗り越えてこそ持続できるのだからだ。そのこのことを冷静に考えるのであれば、両国は覇権を競っている場合ではないのだ。

またそうした考え方を踏まえる時、日本は、ただ「東アジアの平和と安定」とか「自由で開かれたインド・太平洋を守る」といった視野で事態をとらえてばかりいるのではなく、つまり中国の動きにばかり目を奪われているのではなく、もっと広く、そしてもっと高い見地でとらえる必要があるはずだ。それは、この後すぐにも述べることになる、「世界の大義」、あるいは「人類全体の価値」とは何か、そして「現在世代の未来世代への責任」とは何か、という地球的、全人類的見地に立っての見方だ。

 その見方とは、アメリカとはこれまで通り協調を維持しながらも、同時に、長い歴史の中で日本が大変お世話になった韓国と北朝鮮とはもちろん中国とももっと友好的な関係を築きながら、つまり互いに尊敬の気持ちを持ちながら、同時に、EUヨーロッパ連合)ともインドとイスラム圏ともそしてロシアとも友好的な関係を築き、またそれを深めてゆくことを意味する。

これからの日本は、こうした文字通り世界的かつ地球的視野に立った戦略を世界に向かって展開してゆくべきだ、とする政策案。

○これまでの途上国への「援助=ODA」のあり方をも抜本的に見直す。「押しつけ援助」ではなく、途上国の人々が求めてくる知識や技術を提供し、資本提供と人的支援をも積極的に行い、彼らが彼らの文化をより発展させられ、自立出来るようになることを目的とする支援へと切り替えるべきだ、と政府に働きかけてゆく、とする政策案。

◯これからの世界を平和にする中核を担うのは若者である。その若者の中でも、積極的に世界平和、環境回復、人権の尊重という観点で積極的に活躍してくれるコスモポリタン世界市民主義者・四海同朋主義者)としての学生を育てるために、日本はその設立発起人となって「世界大学」を日本に創設する、との政策案。

◯また、今も世界の何処かで続く内紛や宗教対立そして民族対立、さらには気候変動によって生み出されてしまう「難民」を、これからのこの日本は、人道の観点に立ち、門戸を大きく開き、政府には積極的に受け入れてゆくようにさせる、とする政策案。

○難民を積極的に受け入れるようにするだけではなく、難民が生じないような平和な国際社会を作ることにも貢献する、とする政策案。

◯そのためには、日本自体が世界平和に積極的に貢献できる国とならねばならないが、それと並行して、国連を強化してゆく必要がある。そこで言う「強化」とは、従来のような「国際の平和と安全を維持すること」や「諸国間の友好関係を発展させること」や「人権および基本的自由を尊重するよう助長奨励すること」にとどまらず、国連が積極的に世界をリードできるようになることである。

 そこで日本は、そのためにも積極的に貢献してゆく、とする政策案。

 具体的には、国連憲章が明記する「すべての加盟国の主権平等」の原則に基づき、すべての加盟国の民主的コントロールの下で、15の国連加盟国からなる安全保障理事会の権限と、5つの常任理事国の拒否権を含む決定権限との関係の見直しの必要性を国際社会に提起し、国連総会の決定が最高権限を持ち、それは常任理事国の持つ「拒否権」を上回る効力を有するとする、とするよう世界に働きかける、との政策案。

○あるいは、15の国連加盟国からなる安全保障理事会の多数決による決定は常任理事国の拒否権を上回るとする国連憲章の改訂を国際社会に呼びかける、とする政策案。

 第二次大戦終結直前に創立された国連ではあったが、もはや70余年を経た今、世界は当時とは大きく変わった。植民地だった多くの国も今や独立国となり、主権国家として国連に加盟している。東西冷戦も終わった。圧倒的多数の国々から「自由と民主主義は人類普遍の価値」と承認され支持されるようになった。そんな中で、世界には格差の拡大、分断の広がり、対立の激化があっちでもこっちでも生じるようになった。またそれと並行して、気候変動は進み、生物多様性もものすごい勢いで消滅している、海山の多くの資源も枯渇化している。そんな中、再び核戦争の脅威も高まっている。

 そしてここで忘れてならないことは、こうしたことのすべては、この地球上で起こっている、ということだ。果てし無く広がる宇宙の中で、今のところ、唯一の「奇跡の星」、「水の惑星」と呼ばれるこの地球でだ。

 本当は遅すぎる感がするが、もうそろそろ世界の人々は同じ人類として、「世界の大義とは何か」(カレル・ヴァン・ウオルフレン)という観点に立って、あるいは「人類全体の価値」(ネルー首相)とは何かという観点に立って議論してもいいのではないか。

 これを国連で徹底的に議論するのである。その上で、これからの国連を、単に国際平和のための機関というのだけはなく、「世界の大義」に立って、「人類全体の価値」を実現するための国際機関として位置づけるのである。それはある意味では国連を、「人類全体への忠誠」を尽くしながら、年間を通して世界に対してリードできる「世界連邦政府」とするということでもある。

もちろんその世界連邦政府に世界政策を提供するのは、国連総会での議決事項である。

 すなわち、こうして国連を、世界で唯一最高の権威を持った世界公認の機関として生まれ変わらせるのである。そしてそのための活動を世界に対して積極的にする、とした政策案。

○加盟国のいかなる国に対しても公平かつ中立な立場で行動する国連軍の創設を世界に呼びかけ、いかなる国と国との間の紛争においても、紛争当事国の軍隊は、国連軍の指揮下に置かれるとする規約の成立に尽力する、とする政策案。

 

6.今、世界が直面している人類存続の可否がかかった4つの大問題である「気候変動問題」、「生物多様性の消滅問題」、「化石資源のみならず海の資源と山の資源の枯渇化の問題」と「核兵器の即時全面廃棄問題」の解決に向けて、日本としての具体的な策と方法論を世界に向けて示し、それを率先して実行して行くことを決意している公約

 上記4つの大問題のうちの最初の3つは、「持続可能な未来、こう築く」とした拙著が掲げる二つの指導原理《エントロピー発生の原理》と《生命の原理》を世界中がその早期の実現を目指せば、克服できると考えられるが、特にその二原理を日本国内で実現しようとする場合には、例えば次のような政策を実施してゆく必要があると私は考える。

 その推奨例を挙げる。

◯最も大規模な例は、物質的豊かさだけを追い求める資本主義グローバル市場経済はもはや止め、これからはむしろ精神的な豊かさを実現する経済へと転換させることだ、とする政策案。

○それは、言い換えれば、文明の発展を重視する経済ではなく、文化の発展を重視する経済へと転換させる、とする政策案である。

◯あるいは、それは、資源を大量収奪し、それを大量輸送し、商品をオートメーションシステムにより大量生産しては、それを大量運搬し、最後まで使い尽くさないで大量廃棄する経済システムをやめ、身の丈の技術や手作りの「技」により、少量多品種生産し、その地域内で用い、最後までそれを使い尽くす経済システムに転換させる、とする政策案。

◯またそのためには、都市化をやめ、既存の大都市人口を減らすために、地方への移住を勧める、とする政策案。

◯また大都市の縮小化を図りながら、都市には、できる限り森や林を主体とした緑地帯を作る、とした政策案。

◯また都市の縮小化を図りながら、人々が暮らしで使う「お湯」は、太陽エネルギーによって作り、それを地域住民にパイプで配給する、とした政策案。

◯そして各戸に供給された「お湯」は、温度の高い「高級」なお湯の状態から、これ以上低い温度の「お湯」はない状態まで、使い尽くして、最後に排水するシステムを年に設ける、とする政策案。

◯また都市の縮小化を図りながら、都市からの排水を、太陽エネルギーを使って起こした電力を用いて浄化し、河川に流すようにする、とした政策案。

 上記4つの大問題のうちの最後の「核兵器の即時全面廃棄問題」の解決策としての政策案の例としては、次のようなものが考えられるのではないか。

○日本は世界で唯一核兵器が使用され、被害を被った国として、その悲惨さを世界に訴え続けながら、「核なき世界」の実現のために全力を尽くす、とした政策案。

核兵器の即時全面廃棄を実現するために、この国が真に自立した国、世界から平和を訴える国として認めてもらえる国になるためにも、もはや軍事超大国核の傘の下にいることを止める、そして核兵器禁止国際条約に加盟すると宣言できる国になる、とする政策案。

と同時に、核保有国には、核戦争には「勝者」はいないこと、核抑止論はとうに破綻していること、核戦争は一瞬にして文明を破壊すること、を強調しながら、核保有国に核兵器の同時全廃を迫る、とする政策案

◯また、核兵器そのものがもはや不要と核保有国のどの国も思えるようになるためにも、世界の平和のために日本はユーラシアの一員として奔走する、とした政策案。

○宇宙空間とサイバー空間を軍事利用することを禁止する国際条約を成立させようと国際社会に呼びかける、とする政策案。

○各国の「宇宙開発」活動のうち、真に全人類の幸福のためになる開発のみを残し、しかもそれは国際社会が共同で行うこととし、他の開発行動は即時停止を国際社会に呼びかける、とする政策案。

それは、どんなに科学技術が進んでも、どんなに宇宙広しといえども、人類が住める場所、それも裸でくつろげる場所はこの「奇跡の星」「水の惑星」と呼ばれる地球しかないこと。それに、その開発行為はどのようなものでも、本質的に宇宙空間を汚すことになる行為でしかないこと。人類のために宇宙を活用するのなら、またそのために観測するなら、その宇宙は、ゴミの空間ではなく、清浄な空間に保たねばならないからだ。