LIFE LOG(八ヶ岳南麓から風は吹く)

八ヶ岳南麓から風は吹く

大手ゼネコンの研究職を辞めてから23年、山梨県北杜市で農業を営む74歳の発信です/「本題:『持続可能な未来、こう築く』

14.7 これらを実行した上で、以下の諸変革を、新大統領(新政府)の下で大至急断行

14.7 これらを実行した上で、以下の諸変革を、新大統領(新政府)の下で大至急断行

 ここでは、拙著の第2部で記述してきた新しい姿と形を持った新生日本国の実現に向けて動き出す前に、足かせにならないように、これだけはどうしても実現させておかねばならないと思われることを大至急実行する。それは、既述してきたように、私たち日本国民については言うまでもなく、地球人類としても、生き残れるための対策の手を打てる時間はもうほとんど残されてはいないからである。

だから、ここでは、新国家建設の前にやっておかねばならない、あるいは解決させておかねばならない必須課題を、私なりに考える優先順位に従って記してみる。

 なお、以下では、表記を簡単にするために、中央政府の官僚も地方政府の役人も共に「役人」と記し、国会の政治家も地方議会の政治家も、区別なく、共に「政治家」あるいは「議員」と記す。

⑴ これまでの役人主導・官主主義・役人独裁を打破して、国民が名実ともに国の主人公であり主権者となる真の民主主義を実現しておくこと

 近代という時代になって、なぜ日本は、実質的に役人主導・官主主義・役人独裁の国になってしまったのか。それは、私は思うに、全て政治家の側に責任があり、第一に、近代西欧から移入したはずの民主主義議会政治の考え方を彼らはきちんと勉強せず、したがってそれをきちんと理解もせず、表面的な形だけを真似てきただけであるため。第二に、この国の政治家という政治家はいまだに明治期の最後の元老山縣有朋の遺産(K.V.ウオルフレン「日本という国をあなたのものにするために」角川書店 p.49)を打破し得ないで、むしろその中に埋没しているからである。その意味はこうだ。政党政治を忌み嫌い、政府というものは、天皇の権威を維持して行くためにのみ存在するものとし、持てる権力のすべてを使って、官僚を「天皇のシモベ」と位置づけ、その「天皇の官僚」の権力が、選挙で選ばれた国民の代表によって決して制限されない仕組みを築きあげては政党政治の発展を阻止してきた明治期の山縣有朋の遺産を、その後のこの国の政治家という政治家たちは、昭和になって「国民のシモベ」となったはずの官僚をコントロールもできずに、平成、令和になってもその山形の遺産を打破し得ずに、むしろ官僚に立法・予算・政策づくりを実質的に依存し続けていること。いや、そのために、彼らはむしろ役人に操られてさえいることである。第三は、また政治家にとってはその方が楽だからであろう。とにかく世界の民主主義国では当たり前にしている権力分散の原則である「三権分立」を破ってでも、政府側の者に「質問」して議会を立法機関ならぬ質問機関にしていれば、いかにも政治家然としていると国民をごまかせるし、それでいて歳費を含む議員報酬が手に入り、様々な特典や特権も手に入れられる。それに周囲から「先生、先生」とチヤホヤされて自己の権力欲・自己顕示欲・名誉欲を満たせるからだ。

 政治家たちのそうした状況の中で官僚たちは、これ幸いにと、政府を自分たちに都合のいいように組織割りしては、憲法を無視し、法律を恣意的に運用しては「法の支配」を日常的に破っている。それは到底「全体の奉仕者」「国民のシモベ」と言える姿ではない。なぜなら、彼らは常に自分たちが所属する組織である府省庁の既得権益の拡充と維持を国民の利益や福祉よりも優先している。それは専管範囲とする産業界に現役時代から何かと便宜を図っては、その見返りに、自分たちの先輩官僚たちが、そしてやがては自分たちも定年後には「天下り」して、第二の人生を優雅に送れる場所を産業界に確保してやることによって、組織内での自身の評価を高め、出世してゆこうとしているのである。

 ではこうした状況の中、これまでの役人主導・官主主義・役人独裁を打破して、国民が名実ともに国の主人公であり主権者となる真の民主主義をこの国に実現するにはどうしたらいいか。

 私は方法は二つあると思う。一つは、既述のような現行の体たらくそのものの「似非政治家」はすべて辞めてもらって、つまり国民の手で淘汰するとともに、国民が真の主権者となって現行の小選挙区比例代表並立制という選挙制度を根本から変えて、自らが信念とする政策案とその実現方法をも携えながら本来の政治家としての役割と使命を果たす決意と志を持つ「本物の政治家」を育てるという方法。もう一つは、役人が、真に「国民のシモベ」「全体の奉仕者」として主体的に働こうとする気持ちになるような客観的で公正な評価の仕組みを伴った公務員制度を構築するという方法。

 そしてこのうちの第一に関する選挙制度については、第9章にて、既存のものとは全く異なる私の考えるものを述べてきた。

では、第二の対処方法については、どう考えたらいいか。

それには、元通産省の官僚だった古賀茂明氏の考え方(同氏著「官僚の責任」PHP新書 P.149〜)を参考にさせてもらうならば、次のようにすればいいのではないかと私は思う。

————それぞれの役人が属している組織である中央政府では府省庁あるいは地方政府であれば部や課の利益のために悪知恵を働かせて行動したなら、報われないだけではなくむしろ降格されるか最悪罷免されてしまい、その反面、国民の利益や福祉のために働いて成果を挙げたなら、それが能力面と実績面で正当に評価され、待遇も良くなる仕組みを作ること。そしてその場合、評価者は同じ組織の上司ではなく、また情実評価を避けるために、政府の全組織に共通に、公正かつ公平に評価する部署を政府内に設け、そこで評価するようにする。

 なお、優秀な人材を思い切って抜擢して登用できるようにするには、上職者のポストが適宜空いているか空けておかねばならないが、そのためには、幹部も同様の公正な評価を受けるようにすると同時に、任期制にする。とにかく、中央省庁では、長くその組織にしがみついていればいるほど得をするというこれまでの悪弊は何としても撤廃しなくてはならないのである。

 そして上記のような目的を実現するためには、その効果をより確実なものとするためとして、次の改革をも一緒に進める。

①公務員試験そのものの変革(後述) ②これまでの身分保障の廃止 ③信賞必罰による実力主義の採用 ④役職定年制の導入と年功序列制度の廃止 ⑤次官を含む幹部級ポストの廃止 ⑥同時に、事務次官会議の廃止 ⑦キャリア制度の廃止 ⑧「天下り」、「渡り」の完全撤廃 ⑨民間と官界との間での人事交流を通して役人は民間のコスト意識の高さと仕事遂行の迅速さを学ぶ ⑩最後まで責任意識を持たせると同時に能力を高めるために担当事業や担当職務が完了するまでの役人の異動禁止 ⑪各府省庁の大臣の配下の官僚への仕事の指示の仕方における期限の明示とそれを厳守させることの徹底

 なお、これまで自民党政権時に限らず、民主党政権時でもそうだったが、そこで行われた

行政改革でもそうだったが、そうした改革時には決まって官僚たちは「変化」を嫌って、組織を挙げてサボタージュしたり、抵抗勢力となってきた。実際、民主党政権時、特に初代首相となった鳩山由紀夫氏が退陣しなくてはならなくなったのは、正にそれが主たる原因だった。

 これからは、そんな時には、担当大臣となった者は、これまでは事実上死文でしかなかった現行日本国憲法第15条の第1項「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である」を、国民の代表として生かし、それをそんな国賊とも言える官僚集団に躊躇することなく適用して、毅然と民主主義政治を押し通さなくてはならないのである。

 なお、前述①の公務員試験そのものの変革とは、大学受験と同種の単なる知識を尋ねるような現行の試験から次のようなものへと根本的に変えることをいう。

それは、次の事柄を徹底的に理解させることを主眼とするのである。

民主政治の歴史、民主主義、権利とは、権力とは、統治とは、「法の支配」と「法治主義」、「三権分立」の根拠、「公務員とは」、公務員と主権者との関係、公務員と政治家との関係。

 そしてこうした公務員試験の問題は、現在はどこの政府も、実質的にほとんどそれを専門とする業者に任せているが、それでは形ばかりのものとなってしまうので、これからは憲法学者あるいは法学者と一般市民でもある人権活動家の代表者が共同して作成に当たるのが適切ではないかと私は考える。そしてこうした公務員試験制度を国会が議決して公式の法律とするのである。

 

少子化による人口減少を抑える対策

そのためには、要は、国民、特に若者に、将来への希望を持たせられる政策を打ち出すこと。

 大統領は、国民に向かって、新生日本国建設に向けて船出するに当たって、国の目指す方向、目指す目的地を明確に説明することを通して、国民に希望を持たせると同時に、国民の義務と責任を明確にし、若者には結婚を奨励すると同時に、子供を産んでも安心して育てられる保障を政府として明確にすること。

⑶ 学校教育の内容の根本的改正と教育システムの根本的再構成

 産業界にとって有用な労働力商品を生み出すことを目的とする既往の、断片的知識詰め込み型、個性無視した画一型、判断力養成無視型、表現力養成無視型の教育をただちに廃止して、一人一人の個性と固有の能力を積極的に認め、その中で生きる目的と意義を児童生徒に明確に理解させ、生きる力を身に付けさせる教育へと転換する。

 そのためには、これまでの文科省による管理教育行政を完全に廃止する。

と同時に、教師が本物の授業ができるように、教育カリキュラム構成を各教師に一任する。

 また、進学や進路について、児童生徒自身の選択肢を増やし、学校はそれを全面支援する。

 また、国民として、明確な歴史認識アイデンティティを持てるよう、正しい歴史の教育を徹底する。

 さらには、「生命主義」の理解にゆく前に、自由・平等・民主主義・権利・責任等々の概念を正しく理解できる教育を実施する。

東日本大震災のみならず、阪神・淡路大震災以降の大規模災害による犠牲者あるいは被災者の完全救済

 避難生活者を含めて、未だ立ち直れていない方々を完全救済する。

⑸1200兆円強に及ぶ政府債務残高の現在世代による清算の断行

 清算方法の基本的考え方としては、例えば、大企業の内部留保金を国の前途のために供出することを義務付け、政府債務残高の返済に充てる。

そもそも、その内部留保金は、労働者を搾取したことにより可能となったお金であるゆえ、公民の「生命・自由・財産」を守るべき国家が窮地に陥っている時には、大企業はその社会的責任をこういう時にこそ果たすべきだからだ。

 それにこれからの環境時代は、既述したように、もはや「資本主義」では地球は持たず、ポスト資本主義を目指さねば、企業も生き残れないことを、政府が勇気を持って説明する必要があるのである。

⑹ 来るべき大規模長期災害に備えて、強靭な国土の構築

①国土面積の67%を占める山林の管理と育成に拠って強化を図る。②大都市居住の危険を少しでも回避するために、地方の空家を有効活用しながら、人口の地方への移住を促進し、「都市と集落の三原則」(4.4節)を実現させてゆく。③その際、「地域連合体」(第8章)を形成して、食糧およびエネルギーの自給自足体制を築いてゆく。

⑺ 世代間相互扶助制度としての「年金」制度の抜本的改革

 「年金」制度だけを考えるのではなく、真の公共事業の実施によって、「新しい経済」(11.2節)のあり方と連動させながら、従来の年金制度と健康保険制度と介護保険制度との一体化を図る。

⑻ 日本の真の独立の達成と国民皆兵制度の設定と全方位外交宣言

 サンフランシスコ講和会議によって表向きは「独立国」となることは許されたものの、実態は、戦後ずっとアメリカの従属国とさせられてきた元凶である日米安全保障条約日米地位協定の破棄。そして今後は、「戦争は人命と地球の自然を最大かつ最速に破壊する敵」として、いかなる特定の軍事ブロックにも属さずに、常に世界平和に尽力するユーラシア大陸の一国として、各国の歴史と文化と宗教を尊重した全方位外交を展開する旨を宣言する。