LIFE LOG(八ヶ岳南麓から風は吹く)

八ヶ岳南麓から風は吹く

大手ゼネコンの研究職を辞めてから23年、山梨県北杜市で農業を営む74歳の発信です/「本題:『持続可能な未来、こう築く』

17.4 「国民会議」が定めた構想を実現するため、中央政府は既存の行政区画を解体し、州および地域連合体へと区画割りまたは線引き

 

17.4 「国民会議」が定めた構想を実現するため、中央政府は既存の行政区画を解体し、州および地域連合体へと区画割りまたは線引き

 国民会議の新国家建設構想が新国家創建プロジェクトとして公式の国家プロジェクト=正式な国策となった時点で、それは国の執行機関としての中央政府の中枢である内閣に引き渡される。引き渡されたそれは、直ちに閣議にかけられる。そこでは、大統領に任命された首相を中心にした閣僚同士で、いかにしたら国民会議からもたらされた新国家創建プロジェクトの内容を、忠実かつ、より効率的に実現し得るか、そのための実現方法とスケジュールを徹底的に議論する。閣議の本来の使命と役割とは、「国権の最高機関である国会が決めた政策の執行方法ないしは実現方法を閣僚同士で議論して決定すること」だからだ。

その際も、内閣は、本物の知識人の協力を得るために————「本物の知識人」の意味は、6.4節を参照のこと————、必要な分野の必要な人数を閣議に招聘する。

ただしその際の人選は、必ずそのための担当閣僚を設けて、その者が責任を持って直接関わり、絶対に官僚には一任しないことである。官僚に任せたなら、これまでが常にそうであったように、彼らは国民の利益や福祉を最優先するのではなく、自分たち組織の「既得権益の拡大と維持」そして「天下り先の拡大と確保」という利益を第一にして、それを実現させる方向で人選するからだ。彼ら官僚はそうした狡猾さを、所属組織の中で生きる中で骨の髄まで習性として身につけているのである。

 もちろんそのときの閣議の場合の各閣僚の配置の仕方としては、これまでNHKテレビがよく映し出してきたような、後から入室してきた総理大臣を真ん中にして、全閣僚がコの字型に、レザー張りと思われる肘掛け椅子にふんぞり返って居並ぶような雰囲気と配置などは論外だ。それはそもそも議論する姿勢からはおよそかけ離れたものであるからだ———これまでの閣議とは、事務次官連絡会議が提案した案件を15分か20分程度で追認するだけだけの、閣議とは名ばかりの、むしろ総理大臣と全閣僚が揃って、官僚たちと官僚組織にこの国を公式に乗っ取らせるための儀式でしかなかったのである———。したがって、今後の閣議は、議論という議論がきちんとできるよう、大至急閣議室を改築しながら、既述のように、「国権の最高機関である国会が決めた政策の執行方法ないしは実現方法を閣僚同士で議論して決定する」という、その本来の使命と役割を果たすのである。その場合の使命と役割の中には、国策執行ないしは実現のための計画と行程も含まれる。

 

 こうして、閣議での熟議の末でき上がった国家としての最終的な計画と行程を含んだ実現方法は、国会と国民会議にフィードバックされて両者の最終的な了承を得る。

 了承を得た段階で、中央政府(もはやこの時は、連邦政府の前身となる)の首相は、30日以内に、全国民に、その最終的な計画と行程を含んだ実現方法を、「丁寧に」でも「粛々と」でもなく、論理と言語を明解にして説明する。そして協力を訴える。

 

 全国民の大方の理解と合意が得られた段階で、新国家形成のための種々の法整備を進める。

その際の要点は以下のものである。そして以下のことを実行できるか否かということこそが新国家創建プロジェクトの成否を決める、と私には思われるのである。

 その1つは、その法整備は必ず立法機関であり国権の最高機関である国会の政治家が、政党や派閥を超えて、政治家同士で議論をし、必要であれば、しかるべき分野の、本物の知識人と呼べる専門家を国会に招聘し、彼らの助言を得て定めることである。

ゆめゆめ、政府の官僚を国会に呼んで、彼らに質問したり助言を仰いだりすることを厳に慎まねばならない。なぜなら、官僚には、その身についた習性として、従来の慣行や前例に基づいた発想、自分たちの所属組織の利益を最優先する発想しかできないからだ。

 1つは、近い将来、「都市および集落としての三種の原則」にもとづいて、大都市の縮小と、それに伴う人口の地方への移動ということが生じるとともに、現行の47都道府県と1718の市町村の行政区画を解体地域連合体とに再編成するという大事業も決行されることになることから、その時必然的に生じてくると予想される土地所有権と空き家の活用権に関する立法化を急がねばならないということである。

つまり、この国に、戦後長らく、当たり前のように幅を利かせてきた「絶対的土地所有権」については、「所有」には大きな義務を伴うとの考え方に基づいて廃止することと(12.3節を参照)、現在、すでに全国には850万戸近くの空き家があるとされる(平成30年時点)が、その有効活用権を含めて、「公共の利益」を最優先する考え方にもとづいて行政府が改廃し、活用できるとする法律の立法化だ。

 こうした立法化の目的とするところは、日本が今後も持続的に生き抜くための、また日本が地球温暖化阻止のために世界に一つの手本として示すべき、今日的「廃藩置県」なのである。